難関資格に分類される行政書士は、まとまった勉強時間が必要で難易度が高いと考えられています。
行政書士の実際の難易度や合格率が低い理由について知りたい、と思われることでしょう。
行政書士の難易度とともに、必要な勉強時間や独学方法、他の資格と比べた難しさについて解説します。
行政書士を目指そうと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
- 行政書士の難易度は偏差値60~65
- 行政書士の合格に必要な勉強時間は600~1,000時間
- 行政書士試験は選択式と記述式が難関
- 行政書士を目指すなら専門の講座を受講するのがおすすめ
- 行政書士の資格を取るのにおすすめのスクールはアガルートアカデミー
行政書士とは?主な仕事内容を解説
行政書士は、国民にとって最も身近な法律家であり、行政書士法に基づく国家資格です。
- 官公署へ提出する書類、権利義務・事実証明の書類を作成
- 許認可申請の代理
- 法律にかかわる相談業務
独立して行政書士の事務所を開業することも可能です。
法律に関するあらゆる知識が身につく行政書士は、他の資格を取得するときにも有利です。
行政書士の難易度を大学偏差値で表すとどうなる?
行政書士は数ある資格や試験の中でも難易度が高い試験です。
近年の合格率は10~15%を推移しており、100人が受験した場合10~15人しか合格できていないのが現実です。
簡単に合格できる試験ではありませんが、正しい方法でしっかり勉強すれば合格できます。
行政書士の難易度を大学偏差値で表すと60~64ほどです。
つまり、1,000人の受験者がいる場合、60~150位に入る知識を身に付けていなければ、行政書士を目指せません。
司法試験や司法書士などと比べると、難易度は下がりますが決して簡単な試験ではないことは明らかです。
行政書士試験の難易度から考える勉強時間
もちろん、合格地点に達するまでに必要な勉強時間には個人差があります。
では、行政書士の難易度から考えて、一般的にどれほどの勉強時間が必要なのかを解説しましょう。
- 法令科目5科目
- 一般知識3科目
- 択一式・記述式あわせて60題
- 試験時間は3時間
全くの初心者が、通信教育やスクールを活用しながら行政書士試験に合格するためには約600時間の勉強時間が必要です。
行政書士試験の勉強はいつからスタートする?
では、行政書士の勉強にかかる時間を基準にいつから勉強をスタートすればよいのかシミュレーションしてみましょう。
初めて法律について勉強する人の場合は、約600時間の学習が必要です。
1日当たりの学習時間ごとに、どれほどの勉強期間を必要とするのか表にまとめてみました。
1日当たりの学習時間 | 週当たりの学習時間 | 必要な月数 |
---|---|---|
5時間/日 | 35時間/週 | 4ヶ月 |
4時間/日 | 28時間/週 | 5ヶ月 |
3時間/日 | 21時間/週 | 6ヶ月と20日 |
2時間/日 | 14時間/週 | 10ヶ月 |
仕事の勤務時間や家庭環境によって、一日に取り分けられる勉強時間は異なるでしょう。
仕事と両立しながら、一日4~5時間の勉強時間を確保するのは不可能に近いといえます。
一日2時間を基本にして週末は5時間を勉強に取り分けるとしたら、7カ月ほどの学習期間が必要です。
行政書士の試験は1年に1回、11月の第2日曜日ですから遅くとも4月には勉強をスタートする必要があります。
試験前に焦らないように、余裕を持って1月あたりからスタートするのがおすすめです。
行政書士試験の効率的な勉強方法
社会人が行政書士の勉強をするための時間を確保するのは大変です。
しかし、仕事・家事・育児と両立しながら行政書士の試験に合格している人はたくさんいますので、心配する必要はありません。
では、効率よく勉強時間を使うにはどうすればいいのでしょうか。
- 勉強する場所を選ばない
- ノートを作らない
- 暗記学習は寝る前にする
- 気分転換を忘れない
まとまった時間が取れないときや机の前に座れないときでも勉強はできます。
通信講座の音声を流し聞きしたり、通勤電車の中で過去問を解いたり、寝る前に一門だけ過去問の解説を読むなどの工夫した勉強を取り入れましょう。
ノートの作成は時間対効果が悪いのでおすすめしません。
覚えておきたい点はテキストに書き込んでしまいましょう。
消せるペンや付箋を使って、あとから整理できるようにしておくのがおすすめです。
暗記は寝る前にすると定着しやすくなります。
夜に勉強時間を確保している場合は、通信講座を見た後に、過去問を解いたりして、寝る直前に暗記学習を行いましょう。
気分転換も意識的に行ってください。
約1年を通して勉強するのでやる気が起きずモチベーションがさがってしまうときもあるでしょう。
勉強しない時間を決めて息抜きするのも、勉強効率を高める一つのポイントですよ。
正しい努力をすれば6ヶ月~1年で行政書士になれる
行政書士の試験は基準点を超えれば合格できます。
ですから、法律に関してほとんど知らないところからスタートした人であっても、正しい方法で勉強していれば6ヶ月から1年で合格を目指せるのです。
正しい勉強方法なのかわからないまま、自分なりの学習を続けていても意味がありません。
できるだけ早く行政書士の勉強を進めたいなら、スクールや通信講座を利用しましょう。
難易度の高い行政書士試験は独学でも受かる?
行政書士は独学でも受かる難易度の資格です。
これまで、独学で勉強して行政書士として活躍している方もたくさんおられます。
しかし、自分で勉強時間を決めて正しい方法で学習するのは大変です。
一日の多くの時間を行政書士の勉強に費やす必要があるでしょう。
勉強を習慣化するために「朝起きてすぐの時間帯」「夜寝る前の3時間」など時間ルールを決めて独学している人も多いようです。
法律に関する知識をある程度持っている人なら、独学で数百時間単位の学習時間を費やして合格できますが、ゼロ知識から独学で行政書士を目指すのはかなりハードルが高いといえます。
独学で行政書士になるために必要な勉強時間
難易度が高いとはいえ、独学で行政書士を目指そうと考えているなら必要な勉強時間を知りたいと思われることでしょう。
独学で行政書士になるために必要な勉強時間は約800~1,000時間です。
法律の知識をある程度持っている場合は、500~600時間程度の勉強で合格できる可能性もあります。
もし、1年間365日かけて行政書士になるための独学をする場合、1日にどれほどの勉強時間が必要なのでしょうか。
1,000時間÷365日=約2.7時間
全くの初心者で行政書士を目指す場合、一年間休みなく勉強したとしても一日当たり約3時間弱の勉強時間を取り分けなければなりません。
社会人が目指す資格の中でも、行政書士の合格率は10%程度と低いのが現実。
仕事と両立しながら毎日の勉強時間を取り分けるのはかなり努力が試みられます。
難易度の高い行政書士はスクールと通信教育のどちらがおすすめ?
行政書士は独学でも合格できないわけではありませんが、より効率よく正しい方法で学習するためにはスクールや通信教育を利用するようおすすめします。
短期間で仕事と両立しながら合格を目指せるのは、第三者のサポートを借りる方法です。
- 学習プランを作りやすい
- クラスメートと切磋琢磨できる
- 急用で講義を逃す可能性がある
- 移動時間がかかる
同じ目標を持つクラスメートと意識を高めあえるのもメリットです。
しかし、通学には時間とお金がかかります。
通いやすいと感じるスクールがある場合はおすすめの学習手段です。
- 自分のペースで場所や時間を選ばず学習できる
- 費用の負担が軽い
- モチベーションをキープしにくい
- 独学に近いスタイル
通信教育は教室に通う必要がないので、自分のペース・タイミングで勉強できるのがメリットです。
しかし、仲間とモチベーションを高めたり、分からないことを直ぐに質問して解決できる環境がないため独学に近いスタイルと言えるでしょう。
【合格率・勉強時間】行政書士の難易度ランキング
行政書士は他の難関資格に比べて、どれほど難易度が高いのでしょうか。
合格率や勉強時間を比較してみましょう。
資格 | 受験者数 | 例年の合格率 |
---|---|---|
宅建士 | 約220,000人 | 15~16% |
行政書士 | 約40,000人 | 10~15% |
社労士 | 約38,000人 | 6~7% |
司法書士 | 約14,000人 | 3~4% |
司法書士の合格率が3~4%なのに対し、行政書士は近年10~15%程度で推移しているため、難関資格の中でも合格しやすいといえます。行政書士は絶対評価の試験なので、他の受験者と競争する必要はなく合格基準を目指せばよい点が合格率につながっているのでしょう。
続いて、難関資格を勉強時間で比較してみましょう。
資格 | 勉強時間 |
---|---|
宅建士 | 300~400時間 |
行政書士 | 600~1,000時間 |
社労士 | 1,000時間 |
司法書士 | 3,000時間 |
やはり、超難関資格である司法書士は3,000時間と膨大な勉強時間が必要です。
行政書士は600~1,000時間ですが、講座を利用した学習方法なら600時間程度の勉強時間で合格を目指せます。
行政書士と公務員の試験難易度を比較
行政書士と公務員の試験難易度は、はっきり言って同レベルです。
大学偏差値にあらわすと、行政書士が62で公務員が63。
しかし、試験における難しさの特徴が違うため、人によっては難易度に差が生まれます。
公務員試験は試験範囲が広いため、膨大な学習内容を取り入れなければならず、幅広い知識をインプットする必要があります。
行政書士は公務員試験よりも学習範囲は狭いのですが、法律に関する知識はより深いものが求められる野が特徴です。
また、出題傾向にも違いがあります。
行政書士は条文知識が問われますが、公務員は実務ベースの知識が必要です。
公務員の行政書士登録が可能な「特任制度」
一定の条件を満たしている公務員は、試験を免除されて行政書士に登録できます。
このような稀なケースが特任制度です。
第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
一 行政書士試験に合格した者
二 弁護士となる資格を有する者
三 弁理士となる資格を有する者
四 公認会計士となる資格を有する者
五 税理士となる資格を有する者
六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者
出典:日本行政書士連合会
つまり、公務員として17年以上勤務している場合は試験を受けなくても行政書士に登録できるのです。
行政書士と宅建の試験難易度を比較
行政書士と難易度が近い資格に「宅建」があります。
不動産取引において、重要事項の説明や契約書等への記名押印を行います。
行政書士と宅建の試験内容や合格率から難易度を比較してみましょう。
宅建は50問の四肢択一で、不動産取引に関する法令から出題されています。
相対評価されるため、少なくとも35問以上は正解する必要があります。
行政書士は五肢択一式・多岐選択式・記述式の合計60問です。
出題内容は行政書士の業務にかかわる法令や一般的な知識が含まれています。
合格するには科目ごとに定められている基準点を満たさなければなりません。
行政書士と宅建の合格率を比較してみましょう。
受験者数 | 行政書士 合格率 |
宅建 合格率 |
---|---|---|
2020年度 | 10.7% | 17.6% |
2019年度 | 11.5% | 17.0% |
2018年度 | 12.7% | 15.6% |
2017年度 | 15.7% | 15.6% |
2016年度 | 9.9% | 15.4% |
行政書士も宅建も合格率は決して高いとは言えませんが、行政書士の場合は10%を下回っている年度もあります。
行政書士が宅建よりも難易度が高いといえるでしょう。
勉強時間に関しても、宅建の必要勉強時間は200~300時間なのに対して行政書士は600~1,000時間必要です。
行政書士の方が勉強時間が長く、法律に関する幅広い知識と深い理解が求められます。
行政書士試験は難しすぎる?難易度が高いとも言いにくい2つの理由
行政書士は難易度が高く、合格するのは難しいと考えられています。
しかし、「難しすぎる」ということはありません。
難易度が高く目指すのをあきらめてしまうほどではないと言える2つの理由があります。
- 勉強する範囲が膨大
- 合格率のデータがあてにならない
勉強する範囲が膨大
行政書士の学習内容は範囲が膨大です。
- 基礎法学
- 憲法
- 民法
- 行政法
- 商法
- 一般知識
ひとつひとつの科目が難しいというよりは、範囲が広いため勉強時間が多く必要です。
そのため、行政書士は難しくて合格しづらいと考えられているのです。
理解するのに時間がかかる科目もありますが、複雑な思考が必要なわけではなく講座を活用すれば難題も解決できるようになります。
合格率はあてにならない
行政書士の合格率は10~15%となっているため、「難しすぎる」「自分には無理だ」と考えてしまいがちです。
しかし、行政書士の試験は特に試験資格がないため軽い気持ちで受験している人もいるのです。
600~1,000時間かけて勉強した人たちの10%ではないことを知っておきましょう。
【高難易度】行政書士試験の合格率が低い4つの理由
行政書士は合格基準が絶対評価なので、正しい方法で勉強し基準点を上回れば合格できます。
しかし、近年の行政書士試験の合格率は10~15%とかなり低いため、難易度の高い資格であると考えられています。
6割の問題に正解すれば合格できるはずなのに、合格率が低い4つの理由を紹介しましょう。
- 出題形式に記述式がある
- 記述式の問題で合格者数が調整されている
- 不合格ラインが科目ごとに設定されている
- 勉強をせずに軽い気持ちで受験している人がいる
簡単に行政書士になれると誤解している人が多い
実生活の中でも法律が関係することは多いため、法律に興味を持ち行政書士を軽い気持ちで目指す人がいます。
弁護士や司法書士といった超難関資格に分類される資格は少しの勉強では合格できないのが当たり前。
しかし、行政書士は簡単に取得できる資格だ、と誤解している人が多いのです。
確かに国家資格の中でも特に難易度の高い司法書士と比較すると簡単かもしれませんが、試験自体の難易度は低くありません。
合格するには600~1,000時間の勉強時間が必要です。
「行政書士は簡単だから受けてみる」という軽い気持ちの人が受験者の中にいるため、合格率が低くなってしまうのです。
出題形式が選択式・記述式
行政書士の出題形式は五肢択一式・多肢選択式・記述式の3種類です。
答えが分からない部分は消去法や適当な回答でも正解の可能性がある択一式ですが、行政書士の場合は5つの選択肢があるので正解率は20%になります。
また、多肢選択式は選択肢が20個あり、適切な語句を順番に4つ選ぶという形式がとられています。
適当に回答して正解する確率は低いでしょう。
一番の難関は記述式です。
出題されているのは3問だけですが、全体の5分の1を占める配点となっているため軽くみてはいけません。
記述式の問題で合格者数の調整が行われる
行政書士は絶対評価なので180点以上を獲得すれば合格できます。
しかし、記述に関しては法令科目の点数と一般知識の点数に応じて採点を調整しているため、年度によって記述で獲得できる点数が大きく変動します。
行政書士の受験者数が増えるほど、合格者数を調整するために記述式の採点が厳しく調整されます。
絶対評価とは言うものの、記述式に関しては相対評価に似た側面があるため合格率が下がってしまうのです。
合格基準点を超えていても不合格になるラインが設けられている
合格基準点を超えていても、科目別に設定されている足切りラインを下回っている場合は不合格になります。
- 法令科目の得点が50%以上
- 一般知識科目の得点が40%以上
法令科目は124点以上、一般知識科目は23点以上を上回っていなければ全体で180点以上あっても冨居横隔になります。
実際、足切りラインとして機能しているのは一般知識ですが、出題範囲が広いので膨大な勉強時間が必要です。