情報処理技術者試験の中で、基本的な知識・技能を必要とするレベル2に分類されている基本情報技術者試験。
試験対策はそれほど難しくないと言われていますが、実際どれほどの勉強時間が必要なのでしょうか。
基本情報技術者試験を他のIT関連試験と比較した難易度や偏差値、合格率などを紹介します。
IT技術提供に関する知識がほとんど無い状態でも合格を目指せるのか気になっている方や、IT業界での就職や転職を考えている方はぜひ参考になさってください。
- 基本情報技術者試験の合格率は20~30%
- 基本情報技術者試験の合格に必要な勉強時間は約200時間
- 基本情報技術者試験の合格基準は午前・午後で各60点以上
【難易度初級】IT関係の転職・就職なら知っておきたい「基本情報技術者試験」
基本情報技術者試験は、受験資格が限定されていない国家試験です。
情報処理技術者になるための一つの試験であり、データベーススペシャリストなどの専門的な分野ではなく基礎的な知識を評価する枠組みに位置しています。
ITを利用するための知識ではなく、ITを提供するために取得する資格であるため、IT技術者として活躍したいと考えているなら必須の資格。
基本技術情報技術者試験に挑戦している人たちは20代が多く、新キャリア構築のために受験している人がほとんどです。
実施時期:4月と10月の年2回
試験内容:テクノロジ/マネジメント/ストラテジなど
合格点:午前・午後各60点以上
試験方法:マークシート形式
アピールしたい企業に対して、自分の実績やIT技術力を証明するために役立ちます。
また、全くIT業界で活動していない状態から、フリーランスを目指すなら基本情報技術者試験を受験しておくなら自分の力を資格という面で証明できるようになりますよ。
基本情報技術者試験の難易度を偏差値で表すと「49」
情報技術者試験の一つである基本情報技術者試験は、レベル1~4で区分されている中のレベル2に該当します。
ですから、IT技術者向けの試験の中では初級レベルの難易度といえるでしょう。
基本情報技術者試験の難易度を偏差値で表すとどれくらいでしょうか。
ファイナンシャルプランナーよりは高く、言語聴覚士よりは低い「49」。
情報技術者試験の中で考えると、情報セキュリティマネジメントよりは高く、応用情報技術者よりは低い偏差値です。
偏差値から分かる通り、基本情報技術者試験の難易度は高すぎず、基礎的な知識を修得していれば合格可能。
基本情報技術者試験の合格率から見る難易度
難易度を知りたい多くの人は試験の合格率をチェックするはずです。
基本情報技術者試験の合格率は大まかにいうと、20~30%。
最近は20%前後の合格率をキープしており、初級レベルの情報処理技術試験とはいえ合格率は低いといえます。
では、具体的に年度別の合格率を見てみましょう。
平成26年度:23.9/23.6%
平成27年度:26.0/25.6%
平成28年度:30.4/23.6%
平成29年度:22.5/21.8%
平成30年度:28.9/22.9%
基本情報技術者試験の合格率はなぜ低いの?
合格率が20%と低めである理由には、合格点のしくみがあります。
基本情報技術者試験の合格点は60点。
しかし、午前と午後に行われるそれぞれ100点満点の試験で60点以上を取らなければならないのです。
午前中に行なわれる試験の問題数は80門で、1問当たりの点数は1.25点。
つまり、80問中48問の正答が求められます。
午前中の試験問題では、テクノロジ系の問題がほとんどですから、試験勉強を成功させる一つのポイントとして覚えておきましょう。
午後の試験は11問出題され、自分で答える問題を5つ選択できます。
ただし、情報セキュリティ・データ構造・アルゴリズムの問題は必ず選択しなければなりません。
データベースやシステム戦略の問題から2問、プログラミング言語については1言語を選択します。
午後の基本情報技術者試験で出題されるものの半分は、プログラミングとアルゴリズムについての出題ですので、戦略的に勉強を進めていくようにおすすめします。
基本情報技術者試験は難易度低め?必要な勉強時間
基本情報技術者試験に合格するために必要な勉強時間は約200時間。
仮に、毎日3時間の勉強時間を確保したとしても、200時間勉強するには66日、つまり2か月以上かかります。
もし、IT知識や経験をすでに持っているなら、勉強時間は50時間程度でOK。
毎日3時間の勉強時間があれば、3週間程度で合格に必要な知識を身に付けられます。
基本情報技術者試験の勉強時間は、長時間続けるよりも短期集中型で一気に知識を身に付けたほうが良いでしょう。
しかし、ただ勉強時間を短縮して、やみくもに知識を頭にいれるスタイルはおすすめできません。
基本情報技術者試験の勉強方法
基本情報技術者試験に向けて、200時間の勉強時間を賢く用いるためには目標と正しい勉強方法の知識が必要です。
まず、メリハリを付けるために一日の目標勉強時間を設定しましょう。
自分の集中力や生活スタイルに合った、無理のない勉強時間を設定しているなら、目標を達成するたびに充実感を得られます。
達成感や充実感は、基本情報技術者試験の勉強を続けていくためにモチベーションを維持するポイントとなるでしょう。
また、我流で勉強するのではなく時間を効率よく用いるために正しい勉強方法を習得しましょう。効果的な勉強方法については後ほど、詳しく紹介します。
加えて、基本情報技術者試験に合格するために良いテキストを使用してください。
説明が分かりづらいテキストを使っていても、勉強は進まず合格に近づけません。
知識のインプットにかかる精神的負担を減らせる、分かりやすいテキストを選ぶようにしましょう。
自分で難易度を下げられる!基本情報技術者試験の勉強方法
基本情報技術者試験の勉強を効率よくするには、どんな方法がおすすめ?
そもそも初級レベルの基本情報技術者試験は、正しい勉強方法を200時間続ければ合格できる可能性が高いといえます。
では、正しい勉強方法とは何でしょうか。
基本情報技術者試験の勉強は、インプットが7割を占めます。
テキストを読み込んで理解することによって、必要なIT知識を蓄えます。
基本的なIT用語を記憶し、試験に出る範囲をおおまかに把握できるようにテキストを読みましょう。
アウトプット部分は3割程度で構いません。
基本情報技術者試験で出題されている範囲や出題傾向を知って、問題集や過去問を使って演習を行います。
分からなかった問題や間違えた問題は、解説やテキストで復習し、弱点をすぐに克服できるようにしましょう。
- 知識をインプット
- 問題集や過去問でアウトプット
- 弱点を克服するためのインプット
基本情報技術者試験は独学で合格できる難易度?
実際のところ、基本情報技術者試験は年齢や経験に条件がない試験ですから、独学でも挑戦できるといえます。
しかし、どの試験についてもいえることですが一人で試験勉強のモチベーションをキープするのは大変です。
また、仲間や講師に頼れる環境がないため、疑問を解決するための解説媒体が限定されてしまいます。
はっきり言って、独学はスクールやオンライン講座などを活用するよりも、合格するのは難しい勉強方法です。
しかし、独学にはメリットもあります。
- 周りに左右されず自分のペースで勉強できる
- 勉強に集中できる
しかし、反対に仲間の存在により自分のペースを乱されてしまう可能性があるのです。
周りの勉強進行度合いと自分の状況を比べて焦ってしまうと、勉強の意欲に影響します。
ですから、周りに左右されず自分に最適なペースで勉強に集中できる独学環境はメリットです。
では、独学を成功させるためにはどのような勉強方法がよいのでしょうか。
- 勉強時間や内容の目標を設定する
- 必要な勉強時間からスケジュールを作成する
- 用語の暗記と過去問の演習を徹底する
- アルゴリズム・プログラミング・文章問題を演習する
午後に行われる基本情報技術者試験の勉強では、6~7割はアルゴリズムとプログラミング言語の勉強にあてるようにしましょう。
過去問を解くときには、実際の試験で問題を解く練習だと思うようにしましょう。
過去問を把握して答えを覚えるのではなく、自分の力で問題を解いていく力を身に付けることを目標にしてください。
基本情報技術者試験の難易度を情報処理技術者試験の中でチェック
情報処理技術者試験の中でも、学生が挑戦しやすいIT初学者向けの試験が基本情報技術者試験。
出題レベルは1~4の中で、ベーシックな部分に当たるレベル2。
では、それぞれの出題レベルごとの特徴を簡単にまとめて見ましょう。
レベル1:共通に求められる基礎的な知識
レベル2:基本的な知識・技能
レベル3:応用的な知識・技能
レベル4:専門的で高度な知識・技能
高度な知識や技能が求められるレベル4の試験では、情報システムの企画や設計、運用などIT業務の中でも特定の活動領域に細かく分類された出題が特徴です。
ITストラテジスト | S |
システム監査技術者 | S |
プロジェクトマネージャー | A |
システムアーキテクト | A |
ITサービスマネージャー | A |
ネットワークスペシャリスト | A |
データベーススペシャリスト | A |
エンベデッドシステムスペシャリスト | A |
情報処理安全確保支援士 |
A |
応用情報技術者 | A |
基本情報技術者 | B |
情報セキュリティマネジメント試験 | B |
パスポート試験 |
C |
表の中で難易度Aに分類されている、ITストラテジストから情報処理安全確保支援士は、情報処理技術者試験の中で特に高い専門性や知識を必要とする高難易度な試験として「高度情報処理技術者試験」に規定されています。
基本情報技術者試験を他試験と難易度比較
基本情報技術者試験は情報処理技術者試験の中では、基本的な知識と技能が必要とされる初級レベルの試験ですが、他の資格と比べると難易度は高いのでしょうか。
いくつかの国家試験の合格率などから、基本情報技術者試験の難易度をチェックしてみましょう。
【難易度比較】ITパスポートと基本情報技術者試験の違い
ITパスポートは通年実施されている試験です。
CBT方式の受験ですから、コンピュータに表示される問題に回答する方式です。
午前・午後・夕方の時間帯で試験が行われ、自分の都合のよい時間を選択できます。
しかし、基本情報技術者試験は一年に2回、一日かけて行なわれる試験。
マークシート形式なので、筆記用具を使って回答します。
ITパスポートは試験時間が120分なのに対し、基本情報技術者試験の試験は300分。
試験に集中する時間が、基本情報技術者試験の方が2倍以上です。
ITパスポート試験と基本情報技術者試験はどちらも、情報処理技術を証明するために活用できる国家試験ですが、情報技術者を対象にしている基本情報技術者試験の方が難易度が高いのは明らかです。
基本情報技術者試験の合格率が約20~30%なのに対し、ITパスポートの試験は50%程度と高め。
長文形式の文章問題が出題される、基本情報技術者試験の午後の試験は苦戦するため合格率が下がると言われています。
合格に必要とされる知識量が違えば、勉強時間にも差が出ます。
ITパスポートの勉強に必要な時間は初学者でも約100時間なのに対し、基本情報技術者試験は200時間必要です。
加えて、ITパスポート試験の合格基準は総合得点600点以上。
そして、ストラテジ・マネジメント・テクノロジの分野でいずれも300点以上の特典があることが必要です。
もし、上記3分野の中で不得意なものがあれば、一つでも300点を下回ると不合格になるため難易度がグッと上がります。
基本技術者試験の合格基準は午前・午後それぞれ60点以上獲得すればいいため、ITパスポートよりも容易に思えますが、そもそも問題難易度が高いため合格率が低いのです。
では、ITパスポート試験と基本情報技術者試験の難易度に関わる比較ポイントをまとめて見ましょう。
ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 | |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 300分 |
合格率 | 50% | 20~30% |
勉強時間 | 約100時間 | 約200時間 |
ITパスポート試験も就職のアピール要因として役立ちますが、さらに難易度の高い基本情報技術者試験は企業から高評価を得られるため、IT関係の職に就きたいなら合格を目指したい試験です。
【難易度比較】応用情報技術者試験と基本情報技術者試験の違い
情報処理技術者試験には応用情報技術者と基本情報技術者の試験があります。
基本情報技術者試験ではIT企業で働くうえで必要な、基本的な知識や技能を一通り取り入れることができます。
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりもレベルが一つ上位のスキルレベル3に位置しているため難易度は高いです。
基本情報技術者試験と同じ出題範囲ですが、午後の試験で論理的な施行が問われる記述式問題が加わります。
勉強するときにおさえるべき単語や概念などの知識は同じですが、基本的な知識を応用するために情報の理解力が問われます。
応用情報技術者試験の合格率は、基本的情報技術者試験と同じ約20%で、合格基準午前・午後それぞれ60点以上です。
合格率や合格基準は同じでも、勉強時間は基本情報技術者試験の2.5倍。
IT初学者が応用情報技術者試験に合格するには、約500時間の勉強時間が必要です。
実際のところ、応用情報技術者試験ではすでにエンジニアとしての経験を積んでいる社会人が受験者であるため基本的な知識は身についているのが前提になっています。
IT業界においてハイレベルな人たちが試験を受けるため、問われる基礎や合格率、合格基準が基本情報技術者試験と同じくらいでも明らかに難易度は高くなっているでしょう。
では、応用情報技術者試験と基本情報技術者試験の難易度に関わる比較ポイントをまとめて見ましょう。
応用情報技術者試験 | 基本情報技術者試験 | |
---|---|---|
>試験時間 | 300分 | >300分 |
合格率 | 20% | 20~30% |
勉強時間 | >約500時間 | 約200時間 |
情報処理技術者試験の中でレベル3に該当する応用情報技術者試験に合格するということは、エンジニアとしての能力をアピールするのに十分な材料です。
また、一部の国家試験での科目が免除されるというメリットもあります。
IT業界でさらに活躍できる応用情報技術者試験に合格するためにも、まずは基本情報技術者試験を受験して、エンジニアに必要な基本的知識や技能を身に付けましょう。
難易度が低めの基本情報技術者試験の受験者層
どんな人が基本情報技術者試験を受けているの?
基本情報技術者試験の受験者は平均年齢25歳ですから、若年層が多いです。
令和元年に行われた試験で合格者数が多かったのは19、20歳と22~25歳の受験者。
すでに社会に出て働いている人よりも、これから就職する専門学生や大学生などの若い人たちが多く受験しているようです。
また、200時間という勉強時間をスムーズに確保できるのも学生時代のうち。
集中できる勉強環境が整っている、学生の間に基本情報技術者試験の合格を目指す人が多いです。
しかし、30~40代の転職を目的とした受験者や、すでに現役を離れている70代の受験者もいます。
IT知識を身に付け、さらに発展しようと考えている人はぜひ受験を候補に入れてみましょう。
【低難易度】基本情報技術者試験が人気な理由
情報処理技術者試験の中で、比較的難易度が低く若いうちから挑戦しやすい基本情報技術者試験。
では、最後に基本情報技術者試験の受験者数が多く、人気がある理由を説明しましょう。
- IT関連企業では資格手当の発行がある
- 就職や転職に有利な知名度
- プログラミングなどの実際の仕事に直接活用できる
- フリーランスとして案件を受注しやすくなる
正しい方法で勉強し、具体的な目標を持って約200時間の勉強時間を確保すれば合格しやすい基本情報技術者試験。
今後の自分の活躍する場を広げるためにも、ぜひ意欲的に挑戦していきましょう。