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漠然と「公認会計士は稼げる」といったイメージのみを持っていませんか?
実際にどれくらいの年収なのか知らないままだと、実際に就職してからギャップを感じることになるでしょう。
そこでこの記事では、公認会計士の年収額を紹介し、年収の上限や年収が低いやめとけと言われる原因、さらに年収を上げるためのポイント5つを解説していきます。
公認会計士の資格取得を目指している方、公認会計士としての就職を検討してる方はぜひじっくり読んでいってください。
公認会計士の年収は低い?高い?
公認会計士は国家資格であり専門職でもあるため年収は高いと思われがちです。
しかし、実際にいくらなのかといったことは広く知られていません。
就職するにあたり、どのくらいの年収が期待できるのかは前もって把握しておきたいところです。
- 公認会計士の年収は平均624万円程度
- 平均年収と比較すると200万円ほど高い
- 初任給は30万円から35万円程度
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それでは、公認会計士の平均年収や日本の平均年収との比較、そして初任給について解説していきます。
公認会計士の平均年収は?
公認会計士の年収はさまざまな調査が行われており、その調査によってかなりの開きがあります。
そこで、当記事では2022年に発表された厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」を参考にします。
その「賃金構造基本統計調査」の結果によると、およそ659万円であることが明らかにされました(企業規模10人以上のケース)。
そちらの調査では、公認会計士と税理士を合わせた平均年収であるため、公認会計士単体であればもう少し高くなるでしょう。
日本の平均年収とランキング比較
令和3年の国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、平均給与(年収)は443万円であることが明らかにされました。
したがって公認会計士の年収は、平均年収よりも200万円ほど高いことが分かります。
次に、職種別の平均年収ランキングを掲載します。
職種 | 平均年収 |
医師 | 約1,378万円 |
航空機操縦士 | 約1,072万円 |
大学教授(高専含む) | 約1,072万円 |
その他の経営・金融・保険専門職業従事者 | 約1,030万円 |
法務従事者 | 約945万円 |
大学准教授(高専含む) | 約856万円 |
管理的職業従事者 | 約840万円 |
歯科医師 | 約787万円 |
システムコンサルタント・設計者 | 約734万円 |
研究者 | 約714万円 |
小・中学校教員 | 約699万円 |
著述家、記者、編集者 | 約696万円 |
大学講師・助教(高専含む) | 約694万円 |
高等学校教員 | 約693万円 |
発電員、変電員 | 約666万円 |
公認会計士、税理士 | 約659万円 |
音楽家、舞台芸術家 | 約647万円 |
輸送用機器技術者 | 約647万円 |
企画事務員 | 約621万円 |
鉄道運転従事者 | 約615万円 |
令和3年賃金構造基本統計調査に掲載されている職種ごとの年収のうち、ベスト20を掲載しました。
公認会計士は16位に入っており、他の職業と比較すると稼げることがデータからも分かります。
初任給で比較
公認会計士の監査法人のおける初任給は、月に30万円から35万円程度とされています。
令和元年調査をもって終了した厚生労働省による賃金構造基本統計調査(初任給)によると、大学卒業生の初任給は21万200円です。
したがって、初任給の時点から公認会計士のほうが平均よりも高額報酬を得ているわけです。
ちなみに高専・短大卒の平均初任給は18万3,900円であり、大学院修士課程修了の場合は23万8,900円です。
公認会計士の年収の上限は?
高額報酬も狙える公認会計士なので、いくらまで稼げるのか気になるでしょう。
実際に、年収で数千万円や億に到達する人もいます。
ここでは非常勤でどこまで稼げるのか、役職や手当、そして生涯年収について解説します。
- 年収が数千万以上になる公認会計士もいる
- 非常勤の時給は2,000円から4,000円スタートが多い
- 経験やスキルによっては8,000円を越えることも
- 年収は役職や手当に比例してが上がる
- 生涯年収は2億5,000万円以上も期待できる
非常勤なら時給8,000円超えも目指せる
公認会計士の場合は監査法人に就職するのが一般的ですが、監査以外に就職する方もおり、副業として公認会計士として非常勤として働く人も居ます。
結婚して子どもができたことで、非常勤に切り替える方も少なくありません。
非常勤の時給はここの経験やスキルによって異なりますが、最低でも2,000円から4,000円、経験およびスキルのある人材であれば時給8,000円以上のチャンスもあります。
年収は役職や手当に比例してが上がる
公認会計士の年収は、役職や各種手当てに比例してアップします。
とくに大きく関わるのが役職です。
スタッフ・シニア・マネージャー・シニアマネージャー・パートナーというような役職があります。
ちなみに、スタッフからシニアに昇格するためには3年から4年程度の経験が必要とされています。
最上級のパートナーになるためには、15年から20年程度かかるとされています。
公認会計士の生涯年収
公認会計士の生涯年収は、2億8,337万円と言われています。
以上の金額は公認会計士の平均年収659万円(賃金構造基本統計調査)を基準としており、大卒の22歳から65歳まで43年間働いたと仮定して算出しました。
ちなみに公認会計士に定年はないので、記載した金額以上に稼ぐことは可能です。
前述したように、役職によっては1,000万円を超えるような年収を得ている方もいます。
3億や4億、それ以上を目指すことだって不可能ではありません。
公認会計士の年収が低いやめとけと言われる原因
公認会計士は、生涯年収が3億円に迫るほど稼げる職業です。
それなのに、なぜ公認会計士の年収が低いやめとけと言われるのでしょうか?
- 資格取得の難易度が高く、それに見合った報酬が得られない
- 職場によって報酬に開きがある
- 高年収を期待しすぎている
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一つずつ理由を明らかにしていくので、以上のように不思議に思っている方は、ぜひじっくり読んでいってください。
資格取得の難易度に比べて年収が低い
公認会計士試験の難易度は、国内最高レベルです。
そもそも医師・弁護士(法曹)と並ぶ三大国家資格に挙げられる専門職であり、簡単に合格できるような難易度ではありません。
公認会計士試験の合格率は以下のとおりです。
- 2023年(第I回短答式試験):10.3%
- 2022年(第Ⅱ回短答式試験):7.9%
- 2021年(第I回短答式試験):21.6%
- 2020年(第Ⅱ回短答式試験):12.9%
- 2019年(第Ⅱ回短答式試験):12.7%
- 2018年(第Ⅱ回短答式試験):18.2%
- 2017年(第Ⅱ回短答式試験):9.7%
合格率は10%から20%前後で推移しており、合格率は極めて低い難易度の高い試験であることが伺えます。
公認会計士試験に合格するためには、3,000時間から6,000時間の勉強が必要とされています。
出題範囲も広く、会計学・監査論・租税法・企業法などの難易度の高い試験科目もあり、多くの方が挫折している試験でもあります。
安易な気持ちで望んでも不合格になるのが落ちであり、高難易度の資格を取得したにしては収入が低いと感じている方が多いのも事実です。
ちなみに、同じ三大資格である医師の平均年収は厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると約1,378万円になります。
弁護士の平均年収(所得)は日本弁護士連合会の「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査2020」によると、約1,119万円です。
つまり、医師や弁護士と比較すると公認会計士のほうが年収は低いのです。
年収は職場によって差がある
公認会計士の資格を取得したあとは、会計士として就職するでしょう。
その主な職場は、以下の4つです。
- 監査法人
- 税理士法人・会計事務所
- コンサルティング会社
- ベンチャー企業
以上のうち、いずれに就職するかによっても年収は大きく変化します。
監査法人でも、その規模によって年収が異なり、BIG4であれば平均年収は800万円から900万円と高額になることも少なくありません。
BIG4には及ばないものの、それなりの規模を誇っているのが「仰星監査法人」「三優監査法人」「太陽有限責任監査法人」「東陽監査法人」「PwC 京都監査法人」の監査法人です。順大手監査法人と呼ばれており、大手には及ばないものの、比較的昇進が早く、役職による報酬のアップが期待できます。
税理士法人・会計事務所、コンサルティング会社、ベンチャー企業でも、監査法人より稼げる可能性はあります。
ただ、規模や働き方によって左右されるため、必ずしも高報酬とはならないので注意が必要です。
高い平均年収を期待している
公認会計士と聞くと、年収1,000万円や2,000万円の世界を想像しているのではありませんか?
たしかに、人によっては数千万円の報酬を得ている公認会計士も居ます。
しかし、スタート時には年収400万円から600万円という方も多く、そこから徐々に年収がアップしていくのです。
いきなり1,000万円や2,000万円になるわけではないので、期待しすぎは要注意です。
公認会計士の年収を上げるためのポイント5選
公認会計士として、年収を上げていくこと自体は難しいことではありません。
年収を確実に上げていくポイントをまとめてみます。
- 昇進して年収を上げる
- 経験を積んで年収を上げる
- 社外監査役に就任して年収を上げる
- 独立して年収を上げる
- 転職して年収を上げる
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それでは、年収を確実に上げていくポイントを一つずつ解説していきます。
昇進して年収を上げる
公認会計士は役職が分かれており、いずれに属しているかで年収も変わってきます。
当然役職が上がれば年収もアップし、なかには1,000万円を超えるケースも出てきます。
以下に、公認会計士の役職と年齢の目安を掲載します。
役職 | 年齢の目安(新卒入社と仮定) |
スタッフ | 22歳から27歳 |
シニアスタッフ | 28歳から32歳 |
マネージャー | 30歳から35歳 |
シニアマネージャー | 35歳から40歳 |
パートナー | 40歳から |
一般企業に置き換えると、スタッフは一般社員であり、シニアスタッフは係長クラス、マネージャーは課長クラスです。
シニアマネージャーになると部長クラスで、パートナーは役員クラスです。
一般企業の場合は年功序列で昇進していくケースが多いですが、公認会計士はどちらかというと実力主義です。
職場によって昇進のスピードは若干異なるため、事前に確認したうえで志望するか判断するのも良いでしょう。
経験を積んで年収を上げる
公認会計士としての経験を積めば、年収がアップする可能性も高まります。
会計事務所で働き始めたら、複数のクライアントを担当しましょう。
それらの担当を独りでできるようになれば、会計事務所としてもあなたは大事な人材となり、年収アップの対象になります。
経験を積むために、専門スキルを身につけられる会計事務所への転職も一つの選択肢です。
社外監査役に就任する
監査役は会社法上の役員の一つであり、役員による職務執行の監査や監査報告の作成などをおこなます。
社外監査役とは、社内から昇格したのではなく、社外から就任した監査役を指します。監査役とは会社経営の業務監査や会計監査を行うことにより、不適切な業務執行がないかを調べ、それを阻止、是正する機関です。現在も過去にもその会社や子会社に在籍したことがない有能な人材を起用することで、社内のしがらみや利害関係にとらわれず、経営を監視することができるという特徴があります。
引用:SMBC日興証券
社外監査役は、公認会計士や税理士などが就任するのが一般的です。
公認会計士や税理士には企業法務・会計の知識があるため、会社の業務監査や会計監査がおこなえます。
社外監査役になると年収がアップする理由に、社外監査役としての報酬があります。
報酬は企業規模によって変わりますが、1社あたり10万円から30万円が相場とされています。
社外監査役は魅力的ですが、以下のように考える人もいるでしょう。
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社外監査役は会社に常駐する必要はなく、取締役会や監査役会などの会議へ出席する程度であり、出社回数は月に数回程度です。
独立して年収を上げる
公認会計士になり、実績を積めば独立も視野に入ってきます。
年収も会社員時代より大幅に上げることが可能で、報酬は全て自分のものになります。
独立には個人事業主と会社があり、どちらにせよ会社員時代よりも稼げる可能性が出てきます。
独立した会計士の仕事は、資金調達や事業再生等に関するコンサルティングや経営コンサルティング、資産管理会社の運営サポートや個人の税務申告などです。
一方で、独立にはリスクがあります。
- クライアントの開拓に時間がかかる
- クライアントが一定数になるまでは収入が不安定になる
- 新規開拓には営業力が必要
以上のリスクを理解したうえで、独立するか判断しましょう。
独立した公認会計士の平均年収は1,000万円を超えている人も少なくありません。
3,000万円以上を稼ぐ会計士もおり、高年収を希望しているのであれば将来的な独立も検討しましょう。
転職して年収を上げる
他の職業と同様に、公認会計士も転職で年収を上げるのも一つの手です。
そもそも会社経営に必須なのが会計業務であるため、公認会計士の需要は安定しています。
最近の傾向としては、即戦力となる人材のニーズが高まってます。
公認会計士の役職の中では、マネージャー以上になると転職時の年収が跳ね上がりやすいとされています。
該当する方は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
公認会計士の年収でよくある質問
ここでは、公認会計士の年収でよくある質問をまとめてみました。
- 公認会計士の年収はなぜ高い?
- 公認会計士と税理士はどっちが稼げる?
- 公認会計士と弁護士はどっちが稼げる?
- 公認会計士のマネージャーだと年収いくら?
- 公認会計士の年収は下がってる?
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それぞれの質問について詳しく解説していきます。
公認会計士の年収はなぜ高い?
日本の平均年収と比較すると、200万円ほども高いのが公認会計士です。
高年収の理由は、以下に3つです。
- 資格取得の難易度が高い
- 業務の専門性が高い
- 需要が高い
まず公認会計士の試験は出題範囲が広く、そのうえ合格率は10%から20%程度なので狭き門です。
勉強期間は最低でも2年から3年とされており、資格取得自体が難しいのです。
公認会計士の業務の専門性の高さも高年収の理由の一つで、とくに「監査」は独占業務であり、公認会計士以外はおこなえません。
需要が高いのに人が少ないからこそ一人に多くの仕事が集まり、結果として高年収になりやすいといった見方もできるでしょう。
公認会計士と税理士はどっちが稼げる?
公認会計士の年収の方が高いとされています。
ただ、精度の高いデータである厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」では、公認会計士と税理士は一緒に掲載されています。
ちなみに、一般的には税理士の平均年収は600万円台で、公認会計士の平均年収は700万円台とされています。
公認会計士と同様に、開業している税理士もいます。
開業税理士も稼げるのは事実で、年収で3,000万円以上というケースも少なくありません。
公認会計士と弁護士はどっちが稼げる?
前述したように、厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査の令和3年版によると弁護士(法務従事者)の平均年収は約945万円と言われています。
公認会計士の平均年収と比較すると300万円ほど高いという結果になるため、公認会計士より弁護士のほうが稼げると言えるでしょう。
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まずは公認会計士試験と同様に、弁護士になるための司法試験の難易度の高さがあります。
司法試験の難易度は最高クラスとされ、勉強時間は3,000時間から8,000時間は必要であり、偏差値にすると「75」と表現されるほどです。
さらに弁護士は、複数の仕事を一度に抱えることも可能です。
できる弁護士であれば、いくつもの訴訟を並行して対応できるため、想像がつかないような額を稼げる可能性もあります。
公認会計士のマネージャーだと年収いくら?
800万円から1,000万円とされています。
有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCあらた有限責任監査法人のBIG4でマネージャーともなれば、1,000万円の大台が見えてくるでしょう。
準大手(仰星監査法人、PwC京都監査法人、三優監査法人、東陽監査法人、太陽有限責任監査法人の5法人)でも、年収900万円から1,000万程度は狙えます。
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早ければ、入社8年程度で昇格できるチャンスがあります。
大卒入社であれば、30歳前後でマネージャーとして働ける可能性があるわけです。
ちなみに、さらにうえのシニアマネージャーに関しては、入社から15年程度はかかるとされています。
公認会計士の年収は下がってる?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の過去の調査結果を確認してみると、税理士・公認会計士の平均年収が800万円を超えていることもありました。
しかし、直近の調査結果では、こちらの記事でも明らかにしたように600万円台です。
以上の情報だけを見ると、公認会計士の年収が下がっていると感じるでしょう。
ここ10年程度で大きく変化したのが、異業種からの税理士・公認会計士への職種転換です。
経験年数が浅い層の割合が一気に増えたため、結果として平均年収を下げることになりました。
高年収である開業公認会計士の年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の結果には含まれていません。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は、雇用労働者の調査なので、開業している公認会計士は調査の対象外なのです。
公認会計士の年収まとめ
- 公認会計士の年収は厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」によると約659万円
- 平均年収および初任給も平均より高い
- 年収の上限は個人差があるが数千万円や億になることもある
- 非常勤の場合は時給で8,000円以上になることも
- 公認会計士の生涯年収は2億8,337万円
- 公認会計士の資格取得は難易度が高く、職場によって収入が大きく異なるなどデメリットあり
- 年収は社外監査役に就任すると確実にアップする
公認会計士は平均年収を大きく上回っており、他の職業と比較すると稼げます。
一方で同じ公認会計士でも稼げる人と稼げない人がいるので、経験を積んで昇進したり、将来的に独立したりなど、自身のキャリアを考えていくことも重要です。