株式投資における「時価総額」とは。投資家に注目される施策を解説

株式・投資

時価総額は企業の価値や規模を評価する指標の1つで、投資家が銘柄を絞り込む際の比較によく用います。投資家から選ばれる企業になるためには、株価を適正な数値に上げて時価総額を高めることが重要です。

時価総額を高めるためには、企業の活動内容を個人投資家・機関投資家に広く知ってもらうためのIR活動が大切になります。

本記事では「時価総額」の基礎知識から投資家に重要視される理由、時価総額を高めるためのIRツールを紹介します。御社の・企業活動・IR活動に役立ててください。

貴社株の時価総額を高めるIRツールとは?

時価総額とは

時価総額は、株価に発行済株式数をかけて求める数値のことです。企業価値や規模を評価するための重要な指標とされています。

時価総額の変動に大きな影響を与えるのは「株価」です。株式を購入する投資家が多いと株価は上昇し、発行済株式数が同じなら時価総額は大きくなります。一方で株式を売却する投資家が多いほど株価が下がり、発行済株式数が同じなら時価総額も小さくなります。

株式投資で時価総額が重要視される理由

投資の世界では「株価」だけでなく、時価総額が投資の判断材料として注目されます。ここでは投資家が時価総額を重視する理由を解説します。

株価だけで企業の実力は測れない

投資家が投資先の企業価値を判断する際、株価だけでなく時価総額で判断します。

たとえばソニー株式会社(以下、ソニー)の株価は12,855円(2022年3月25日終値)で、一方のトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)の株価は2,189円です。ソニーの株価はトヨタ自動車の約6倍ですが、ソニーの企業価値がトヨタ自動車の6倍あるということにはなりません。

時価総額での比較では以下のとおりです。

  • ソニーの時価総額:株価12,855円×発行済株式数1,261,081,781株=約16.2兆円
  • トヨタ自動車の時価総額:株価2,189円×発行済株式数16,314,987,460株=約35.7兆円

トヨタ自動車の時価総額はソニーの約2.2倍であり、投資家はトヨタ自動車の企業価値を ソニーの2.2倍で評価していると読み取ることができます。

トヨタ自動車の株価が低いのは株式分割を行ったことによります。2021年10月1日に1:5の株式分割を実施しており、発行済株式数が5倍になる一方、株価は5分の1に下がりました。

株価が安くなって投資家を呼び込みやすくなっただけで、トヨタ自動車の企業価値(時価総額)は以前と変わりません。

投資家は時価総額を企業価値の比較に利用する

一般的に企業の利益や資産が大きいほど時価総額が大きくなり、将来の成長への期待が大きいことを表しています。

時価総額が変動する要因は株価の変動であり、株価変動の要因として考えられるのは以下のような事柄です。

  • 企業収益の変化
  • 純資産(自己資本比率)の変化
  • 投資家の期待値の変化
  • 発行済株式数の変化

株価が高く発行済株式数が多いということは上記のような数値が優秀であることを示しており、投資家から信頼ある企業として認知されやすくなります。必ずしも時価総額が企業価値を正確に反映すると決まったわけではありませんが、企業価値を投資家に認めてもらうための指標として経営を行うことには価値があります。

時価総額が高まるほど買収の対象になりにくいという点もメリットです。公開買付などで買収された企業は子会社化して非上場になる可能性もあります。

買収リスクが低い(時価総額の大きい)企業であれば投資家に長期にわたって選ばれるでしょう。株価を重視する時価総額経営を行うことは、企業防衛の観点からも有力です。

東証の市場区分変更と時価総額の関係

2022年4月4日から東京証券取引所の市場区分が現行の形から「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの市場区分に再編されました。

目的は国内外の多様な投資家に高い支持を得られる現物市場を提供することですが、今回注目するべきは3つの市場の上場基準です。各市場区分のコンセプトに応じて「株主数」「株式数」「時価総額」などについて新たな基準が設けられています。

今回のテーマである時価総額に絞ると、各市場で以下の条件が設定されています。

  • プライム市場:流通株式時価総額100億円以上
  • スタンダード市場:流通株式時価総額10億円以上
  • グロース市場:流通株式時価総額5億円以上

プライム市場の流通株式時価総額は東証1部の直接上場の基準だった10億円から100億円に大幅に引き上げられました。上場基準を満たしていない企業は現状の第二部に相当するスタンダード市場への市場変更か、経過措置として改善策の提示とその後の進捗の提示が必要です。

現行の東証第一部からプライム市場に移行してその地位を維持するためには、これまで以上に時価総額が重視されることとなります。

適正株価の獲得に重要な「IR活動」


東京証券取引所の市場再編でも時価総額の重要性が増しています。時価総額を増やすためには株価の上昇が不可欠であり、そのためには多くの投資家に企業の魅力を認知してもらうことが重要です。

投資のキッカケを提供し、ファン株主を増やすために重要なのが「IR活動」です。

活動が知られない限り評価されることはない

株価は、考えようによってはいい加減な指標です。コンピュータできちんとその企業の適正価格がはじき出されているわけではありません。

投資家に認知されていない銘柄は買い手がつかず、適正な株価にならない可能性もあります。正しい訴求対象(投資家)に正しい形で訴求して初めて、適正な価格に近づくことになるのです。

業績が十分で将来性のある企業でも、価値が伝わらなければ株価には反映されません。会社の広報の全てが株価の値段付けに関連していると考え、自社の情報を統括的に開示していくことが求められます。

IR活動の強化で経営は改善できる

企業の情報を投資家に開示する方法こそ「IR」です。IRとはInvestor Relations(インベスター・リレーションズ)の略で、企業が投資家に向けて経営状態や今後の事業計画など投資の判断材料になり得る情報を提供する広報活動を指します。

経営状態を公開することで業績や将来性に魅力を感じた投資家が集まり、事業に必要な資本を獲得することにつながります。また、株主投資家から意見をもらうことで経営に活かす貴重な場としての機能も期待できるでしょう。

IR活動の強化が実際に企業経営のプラスになった「東京エレクトロン株式会社」の事例を紹介します。半導体およびフラットパネルディスプレイ製造装置メーカーである同社では、IRを「経営の最重要課題」と位置づけており、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために以下のような取組みを通じて企業情報の開示を行っています。

  • 社長直轄のIR室を設置、投資家と双方向の対話を行う
  • 経営幹部をメインスピーカーとしたオンライン決算説明会を実施
  • ファクトブックなどのIR資料の一部を日本語と英語を使ってホームページで公開
  • 取締役会長および社長による対面での対話を実施

このようなIR活動の結果として海外株主構成比率が上昇し、現在は全投資家の4割以上が海外の投資家(外国法人等)になりました。

効率的なIR活動を支援する「IR-navi」とは

IR活動を効率的に行うなら、ステークホルダーと良好なコミュニケーションを取れるASPシステム『IR-navi』の導入がおすすめです。

IR-naviはIR活動を効率的に行うためのASPサービスで、以下のような特徴を持っています。

  • 3つの投資主体を結ぶ国内唯一のマーケティングツール
  • 投資家リスト・プロフィール管理によるIR業務の効率化が可能

『IR-navi』の詳細はこちら

3つの投資主体を結ぶ国内唯一のマーケティングツール

IR-naviは「国内機関投資家」「外国人投資家」「個人株主」という3つの投資主体をインターネット上で管理できるのが特徴です。たとえば決算説明会の運営機能。招待者の選定や招待状の送信、出欠管理まで一元化して行えます。

投資家取材対応のスケジュールなど、投資家とのコンタクトを一元的に管理することも可能です。在籍先が変わりやすいファンドマネージャーやアナリストについても、常に最新の情報がデータベースで管理されています。

投資家リスト・プロフィール管理によるIR業務の効率化が可能

投資家をリスト化してプロフィール管理することで、効率的なIR活動ができるのも特徴です。「投資家プロフィール検索機能」ではヘッジファンドも含めて約7,600機関のプロフィールを調べられます。初めて取材依頼を受けた投資家の情報収集や、面談時の資料作成に利用できるでしょう。

「投資家のリスト管理機能」ではIR活動の目的別に投資家リストを作成・管理ができます。決算説明会の招待リストや海外向け決算説明会・ロードショー用の外国人投資家リストなど、用途に応じて投資家のリストアップも可能です。

IR活動の充実が時価総額増加のきっかけになる

本記事では時価総額が投資家に重要視される理由、時価総額を高めるためのIRツールを紹介しました。時価総額を大きくすることは投資家に選ばれるためだけでなく、企業防衛の観点からも重要です。東証市場の再編に伴って時価総額の重要性が上がっており、今後はますます時価総額を意識した経営が求められるでしょう。

投資家向けのIRコンテンツを充実させることも株価上昇、ひいては時価総額の上昇に効果的です。

株式会社ウィルズでは、投資家リスト管理やIRイベントの出欠管理、投資家のプロフィール検索など多彩な機能を備えたIR-naviで企業様のIR活動を支援しています。

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