機関投資家に響くIRとは?求められるIRの例やIRサービスを紹介

株式・投資

IRとは企業説明会や決算説明会などを通じて、機関投資家や個人投資家に経営・財務状況・業績の実績・今後の見通しなど、投資判断に必要な情報を提供することを言います。

IR活動を積極的に行っている会社はそうでない会社に比べて株価が高くなりやすい傾向もあり、近年、上場企業にとってIRの重要性は増しています

本記事では機関投資家の投資プロセスや、IRにおいて機関投資家が求めているもの、おすすめのIR支援サービスについて紹介します。

「機関投資家はどのようなIRを求めているのか?」「どんなデータを開示したらよいか?」「IR支援を行っている会社にはどんなものがあるか?」を知りたければ、ぜひチェックしてください。

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機関投資家の投資スタイル・考え方は?

そもそも機関投資家とはどういった投資家で、どのような考えのもとで投資をしているのでしょうか?それを説明していきます。

まず、機関投資家とは大量の資金を使って運用を行う法人の投資家のことを指し、具体的には、生命保険会社・銀行・年金基金・共済組合・投資顧問会社・政府系金融機関といった組織がこれにあたります。

また、機関投資家とひと口に言っても、顧客から預かった資金で運用していることから、運用の元手が保険料なのか年金なのか投資資金なのかによって、投資商品は異なります。

個別の銘柄選定においては各ファンドの厳格なルールに基づいて行われ、企業の成長性や割安感など丹念に企業をリサーチした上で買いや売りの判断を下します

一回の売買で数十〜数百億単位の資金が動くため、個別株はもちろん市場全体に与えるインパクトも大きく、機関投資家の動向は常に市場関係者の注目の的です。

機関投資家の投資プロセス

機関投資家はどのようなプロセスを経て銘柄を選定し、投資を行っているのでしょうか?順を追って解説します。

1.ポートフォリオのテーマを決定

どのセクター・業界・カテゴリーを投資対象にするかをリサーチし、ポートフォリオのテーマと構成を検討します。

2.スクリーニングで投資候補銘柄を決定

成長が見込める銘柄か、株価は割安か、また流動性リスクや債務不履行リスクはないかといった観点で銘柄をスクリーニングします。

3.銘柄選定

投資候補リストをさらに絞り込むため、個別銘柄を詳しく見ていきます。このとき、以下で挙げる点にも注目します。

  • 同業他社と比較して競争力や優位性はあるか?
  • ブランド力や市場シェア、占有技術を持っているか?
  • 経営陣は実行可能な戦略を持っているか?
  • その企業の持つリスクは何か?(顧客の偏り、規制・法的リスク、労使関係、経営陣の辞任など)

4.企業の情報収集(決算説明会/企業訪問)

企業へ直接訪問して情報収集を行います。経営者やIR担当者と対面し、経営の透明性・市場の成長性・経営ビジョン・経営者の資質・経営目標の実現性などを聞き取ります。

5.業績予想とバリュエーションの検討

アナリストの意見も参考にしつつ、組み入れようとしている銘柄が割安かどうか、企業への評価は株価に織り込み済みかどうかを判断していきます。

6.ポートフォリオの構築

選定された銘柄でポートフォリオが組まれます。

機関投資家が企業のIRに求めるものは?

機関投資家が企業のIRに求めることは何でしょうか?

IRにおいて重要なことは「誠実な開示」と言われています。「誠実」とは、言い換えると実現可能性が高い計画を網羅的に示すことです。

開示する計画は控えめすぎると機関投資家にとって魅力的に映りませんが、よく見せようとして実現できない高い目標を示すことも「適当な数字を出す会社」「計画の数字を盛る会社」とマイナスイメージを与えます。

実現できそうな計画を正直に示すこと、誠実な態度で開示をすることがIR担当者に求められる姿勢です。

また、もし会社の戦略や顧客との関係上、開示できない情報があっても構いません。機関投資家が求めるのは「できるかぎりの開示」であって、「全ての情報の開示」ではないからです。むしろ開示できない情報があることをその理由とともに伝えれば、かえって好印象を与えられます。

機関投資家にとって、誠実かつ多くの情報を開示する企業はIRに積極的かつ、投資家とのコミニュケーション姿勢も感じられることから、ポジティブに捉えられやすいでしょう。

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望ましいIRの具体例

このパートではアナリスト・機関投資家向けのアンケートから企業に求められるIRの具体例を紹介します。

機関投資家が求めるデータ

機関投資家がIRで求めるデータとして、以下に挙げるものがあります。

なお、データは基本的にExcelで管理されているため開示の際はExcel形式が望ましいとされています。

  • 業界情報
  • 中期経営計画
  • 定点観測のKPI
  • 四半期単体のデータ
  • 月次データ
  • 前期(直近)決算の詳細
  • (製造業の場合)受注に関するデータ

また、機関投資家は実績以上に将来の業績の見込みや予測を重視します。データに加えて、将来の動向についてのコメント(「上ブレ期待がある」「前期よりも好業績の見込み」など)があるとなお良いでしょう。

機関投資家が求める情報発信の方法

野村インベスターリレーションズ株式会社の行った機関投資家・アナリスト向けアンケートでは、機関投資家が求める情報発信の方法として、以下が挙げられています。

説明会のハイブリッド開催

本決算・第二四半期決算で望ましいと思われる情報発信の手段として、約7割が会場開催とテレフォンカンファレンス・ライブ配信による併設開催を挙げています。

コロナ禍を経てオンライン説明会のニーズは高まっています。

説明会資料と説明会の書き起こし(読み原稿)

上と同じく望ましい情報発信の手段として、約5割が読み原稿の決算説明資料を挙げています。

開催日時が重なって説明会に参加できないときは、後日説明会の様子を動画で視聴することになりますが、動画を視聴するよりも文章で読んだ方が効率が良いとして、書き起こし原稿のニーズは高いです。

説明会の資料だけでなく、会社側の発言ニュアンスが伝わる読み原稿の方があるとなお良いと言われています。

動画・音声の掲載

全体の約6割が動画・音声コンテンツに望む内容として挙げていたのが「IR担当者以外の役員・開発担当による商品・技術の解説動画」です。

IRでは社長やIR担当者が前面に出て事業計画や決算内容を説明することがほとんどですが、開発担当による商品・技術の解説もIRの一つとして求められていることが分かりました。

参考URL:野村インベスターリレーションズ株式会社「企業が行うIR活動に関する調査 2021 機関投資家・アナリスト向けアンケート」

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これだけは避けるべきNGなIR

前項までは望ましいIRについて紹介しましたが、ここでは「これだけは避けるべきIR」を解説します。

機関投資家が嫌うIRのひとつとして「分からないと答えること」があります。もちろん、変化の激しい時代に長期的な目標や将来の具体的な計画を示すのは企業にとって難しいことでしょう。

「○○だと思います」と断言しない、また「○○のリスクがあります」と答えることは問題ありません。しかし、ただ「分からない」「開示できない」では説明不足としてIRの場ではあまり印象のよい態度とは言えないでしょう。

もしどうしても「分からない」と答えざるを得ない場合は、なぜ分からないのか?なぜ開示できないのかも併せて説明すると良いでしょう。

また、望ましくないIRの二つ目として「企業にとって不利なデータや悪い情報について説明しないこと」があります。

データについて説明を求められたときに「計画通りに行かなくて当たり前」「先のことは予測できない」と開き直るのは良くありません。

自社にとって不都合な数字や情報でも隠さず開示し、なぜそうなったのか?今後はどうしていくのか?を説明できるようにしましょう。

おすすめのIR支援・IRサービスサイト4つ

このパートでは機関投資家向けのIR支援・IRサービスサイトのおすすめを4つ紹介します。IR対策に不安を感じている担当者の方はぜひチェックしてください。

日興アイ・アール

日興アイ・アールはSMBC日興証券グループのIRコンサルティングファームです。
法人向けサービスとして「新規公開企業支援」「上場企業支援」「自治体支援」の3つのメニューを展開しています。

サービスの内容はIRプランニング、株主・投資家のリサーチ、HPなどメディアを通したIRのコンサルティング、IRイベントの開催支援です。

アナリスト・機関投資家向け説明会の集客支援システム「説明会.com for professional」では、登録している多数のアナリストや機関投資家にイベントを告知し、効率的な集客を可能にします。

説明会の開催に際しては、会場手配・レイアウトの検討から告知・集客・当日の運営、説明会後のヒアリングといった一貫したサポートを受けられます。

IRの経験がない会社だけでなく、自社のIR施策をさらに磨き上げたいという会社にもぴったりです。

IR-Japan

IR-Japanは企業のIR・SR活動に専門・特化したコンサルティング会社です。
主な事業として、株主名簿には掲載されない機関投資家を特定する「株主判明調査」や、アクティビスト(物言う株主)対応を手掛けていることで有名です。

IRコンサルティング業務は「WEBサービス」「説明会関連サービス」「IR人材教育」の3つに分かれています。

WEBサービスでは機関投資家の保有状況をデータベース化したシステム「IR-Pro」を提供。ファンド毎の保有状況・保有推移のほか、同業他社との保有比較も可能です。

説明会関連サービスでは告知・会場手配・運営サポートなどのバックアップ業務や説明会レビューを行います。また、IR人材教育ではIR・SRのノウハウを習得できるIRプランナー講座を開催しています。

IR-JapanのIRコンサルティングサービスは戦略的なIR活動をしたい、自社のIR人材を育てたい会社向けと言えるでしょう。

WILLs

WILLsは総合的な株主管理プラットフォームの提供を行っています。

IR関連では「IR-navi」「オンライン決算説明会」「バーチャル株主総会」「ESGソリューション」「決算説明会運営サポート」等の幅広いサービスを提供しています。

そのうち、IR-naviはステークホルダーとのコミニュケーションツールとして開発されたもので、現在、累計600社以上で導入が進んでいます。

国内上場企業・海外主要企業約32,000社について、機関投資家による株式保有状況を確認できるほか、決算説明会や投資家ミーティングの運営・管理機能も備えています。

また、投資家プロフィール検索機能ではヘッジファンドを含め、グローバル規模で約7,600機関のプロフィールを調べることが可能。運用スタイルや投資先企業といったデータを網羅していますので、面談時の資料として役立つでしょう。

効率的な投資家管理ツールを求めている会社におすすめのサービスです。

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宝印刷株式会社

宝印刷株式会社は1952年の創業以来、『有価証券報告書』『株主総会招集通知』『事業報告書』『株主通信』等の作成支援を主要業務として行っています。

このほか、IR支援としてディスクロージャー(企業情報開示)・IRに関するコンサルティング、WEBサイト制作、ディスクロージャー関連書類の翻訳・通訳サービスを行っています。

機関投資家向けIR支援としては、動画撮影から視聴環境整備、スライド資料と同期した視聴フォーマットの用意といったワンストップの動画配信サービスに加えて、決算説明会資料のデザイン制作や作成方法アドバイスも。また、野村総合研究所と共同開発した「簡易株主判明調査(e-AURORA Xircle)」では、ファンドの保有情報の検索やIR活動のターゲティングが可能です。

IRで特に動画やレポートなど資料面を充実させたいと考えているなら、宝印刷のIR支援はうってつけのサービスでしょう。

機関投資家向けIRに重要なのは対話・コミュニケーション

機関投資家向けのIRでは、なるべく多くの情報を誠実に開示することが求められます。また、ライブ配信や動画・音声の提供などオンライン化のニーズも年々高まってきています。

しかし何より重要なのは機関投資家に対して企業が自ら情報を発信し、自社の魅力を説明しようとする積極的な姿勢です。

そのためにはデータや資料を充実させるだけでなく、ツールをフルに活用した機関投資家とのコミニュケーションが必要です。

IR-naviはシステムで投資家との面談履歴やIRイベントの告知や出欠管理といったコンタクトを一括管理でき、また、投資家リストを作成すればIR-navi上からアプローチが可能。効果的なIRツールを探しているなら、IR-naviを活用してみてはいかがでしょうか?

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