Caseプレミアム優待倶楽部導入事例

個人株主数が約28%増。変革するAIの老舗が仕掛ける株主優待

研究開発を中心にAI技術を活用したビジネスを展開するHEROZ株式会社。2017年、対戦ゲームアプリ「将棋ウォーズ」で同社が開発した将棋AIがプロ棋士に勝利しました。「AIが人類を超えた」と話題になり、翌年の東証マザーズ(現・東証グロース)上場では3日間で時価総額1,400億円に。巷も投資市場をも驚かせたHEROZが2023年、「プレミアム優待倶楽部」を導入されました。事業戦略変革中の同社がプレミアム優待倶楽部を導入するに至った経緯を、攻めのCFO森取締役に伺いました。

お話をうかがった方
HEROZ株式会社
  • 取締役 CFO 森様
  • Group Corporate Division, Division Head 中原様
課題
  • ■個人株主数の停滞
  • ■流通株式時価総額や株式の流動性比率の延び悩み
  • ■潜在的な個人投資家へのアプローチ
解決策
  • ■株主優待制度の新設
  • ■ポジティブニュースとの同時リリース
効果
  • ■前期末と比較し、株価が約24%上昇
  • ■前期末と比較し、個人株主数が約28%増加
  • ■株主優待条件の対象単元未満の株主数も増加

流通株式時価総額や株式の流動性比率の伸び悩みを株主優待で解決

ーまずは事業内容をご紹介ください。

森様:
HEROZはAIの開発を中心とした事業グループです。「AI革命を起こし、未来を創っていく」というビジョンの下、「驚きを心に」をコンセプトに人々の生活が便利で楽しくなるよう、AIを活用したサービスを展開しています。

特にここ2、3年はAI SaaS戦略と銘打ってSaaS型ビジネスモデル企業のM&Aを積極的に進めています。

インターネットセキュリティ領域で主にマネージドセキュリティサービスを展開する「株式会社バリオセキュア」、SaaS間連携プラットフォーム“JOINT iPaaS for SaaS”を展開する「株式会社ストラテジット」、主にコンタクトセンター領域でQuickSummary2.0など自然言語系AIのサービスを展開する「株式会社エーアイスクエア」、駅や商業施設などで活躍中のDXソリューション“AIさくらさん”シリーズを展開する「株式会社ティファナ・ドットコム」の5社をグループ会社とし、シナジー創出を図りながらBtoB・BtoC領域ともに事業拡大を計画中です。

ーどのような目的でプレミアム優待倶楽部を導入されたのでしょうか。

森様:
直接的な目的は、当社株式への投資の魅力をより一層高め、中長期的に株式を保有いただける株主様の増加です。株主数が増えないことによる、流通株式時価総額や株式の流動性比率の伸び悩みが課題でした。同時に、現在われわれが行っている事業変革を広く知っていただきたいという思いもありました。

HEROZ単体では2009年の創業からBtoC向けに将棋AIを活用した「将棋ウォーズ」というアプリを運営しています。そこで得た知見を元にBtoB向けAI関連ソリューションの提供へと事業を拡大、主に金融・建設・エンタメ業界の企業様と仕事をさせていただき、業績については自信を持っています。しかし研究開発の側面も大きいため、投資家の方々に目には事業成長という点ではゆるやかと映っていたのではないかと感じていました。

確かにリカーリング売上比率が低いという課題がありました。そこで前述のAI SaaS戦略に取り組み、リニアに売上を伸ばせる事業モデル開発への注力を始めました。現在リカーリング売上比率は65%程度に向上、今まさに事業戦略の大きな変革の最中にあります。

当社のこういった活動や事業の方向性を個人投資家の皆さんに理解していただきたい、その呼び水になるのではないかと思いプレミアム優待倶楽部を導入しました。

株主優待のフローをデジタルで管理・解決する【株主DX】に共感

ー株主優待制度はお持ちだったのでしょうか。

森様:
いいえ。初めての株主優待です。
検討当時、私たちの時価総額は250億円程度。機関投資家の対象銘柄となるよう時価総額500億円を目指すファーストステップとして個人投資家様へのIR活動を優先することにしました。その最初の一手として株主優待を始めました。

配当がない中で株主優待を置くことにネガティブなご意見をいただくかもしれないと覚悟をしていましたが、現在のところそういった声はいただいてはいません。株主優待は配当と同じくらい個人投資家様に重視されているのなのだと実感しています。

―株主優待制度の設計で困ったことはありましたか。

森様:
会社として初めてというのと共に、私個人にとっても、これまでさまざまな企業の財務部門を見てきましたが株主優待の導入は初めて。そこで頼りになったのがウィルズさんでした。株主優待の仕組みから、どういった狙いを持つとどんな成果が出るのかと事例を挙げて教えてくださり、導入イメージがしっかり構築できました。

プレミアム優待倶楽部の機能的評価もありますが、ウィルズさんのこういった丁寧な対応が導入理由の一つでもありますね。

ープレミアム優待倶楽部を知って、どのように思われましたか。

森様:
【株主DX】というコンセプトが非常に良いと思いました。
株主自身が情報を登録し、商品を選択するといった一連の行動がWebで完結する。このプラットフォームは便利でユーザビリティに優れています。同時に株主優待提供企業にとっては、個人株主の情報が自動的に集まってくるというありがたいシステムです。非常にうまい仕組みだと思いました。

またポイントの共通化は良い着想だと思いました。他社の株式保有でプレミアム優待倶楽部を利用している個人株主様が、ポイントを積み増ししたいからとHEROZの株を購入いただくというストーリーが描けるわけです。ポイント経済圏の構築ですよね。面白いです。

ポイントは、保有株数だけでなく保有期間もポイント獲得のカウント対象になるのも良いですね。株式購入スタイルはさまざまですから、幅広い層の株主様に体験いただけるシステムだと感じました。

決め手は株主目線の仕組み、導入後、個人株主数・株価ともに大幅に増加

ープレミアム優待倶楽部導入の決め手を教えてください。

森様:
機能面では、株主様にとって多様な選択肢があるということです。食品や飲料、家電、旅行と種類も数も多い。当社も「将棋ウォーズ」で利用できるアイテムをプレミアム優待倶楽部に提供していますが、もしプレミアム優待倶楽部を利用せず当社のサービスだけを株主優待として提供していたら、「将棋ウォーズ」のヘビーユーザーの株主様にはささったかもしれませんが、さまざまな属性を持つ潜在的な個人投資家にアプローチしたいという目的は果たせなかったと思います。
また、商品ラインアップが定期的に更新されるのも株主目線の仕組みだと感じ、株主様に喜んでいただきたいというわれわれの意思を反映しているようでありがたいです。

それに、ウィルズさんとは親和性のようなものを感じたところも決め手の一つでしょう。当社は金融領域で株価予測やポートフォリオ最適化といった各種AIソリューションを提供していましたから、AIを用いて資本市場により良いサービスを提供したいという思いが重なりました。同じ目線で一緒に事業を行おうと話が進み、プレミアム優待倶楽部導入リリースと同タイミングで業務提携も発表させていただいています。研究開発の期間を経ながら、ウィルズさんとの取り組みは今も発展的に進んでいます。

ープレミアム優待倶楽部導入は時期も考慮されたと伺っています。その意図を教えてください。

森様:
私たちが上場して以降、AI系の企業がどんどん上場しています。新しい技術やアイデアを持って成長中の会社は個人投資家にとっても魅力的だと思います。一方HEROZはAIの老舗。目新しさからは遠いイメージになのではないかと感じていました。しかし現実には、経営のスタンスを変えM&Aを行い事業成長に挑んでいる。

個人投資家に再び注目してもらうためには、株主優待制度があるというだけでなく事業としての面白さ伝えることが重要だと考え、M&A後に業績を大幅に伸ばせた昨年の決算発表と合わせてリリースしたのです。ベストなタイミングでした。

狙い通りの株主数増。優待対象単元未満の株主も増加

ープレミアム優待倶楽部導入の効果はいかがでしたか。

森様:
導入前の2023年4月末時点から直近の2024年4月末時点までの間に、株価が約24%上昇しています。また個人株主数が約28%増加しており、全体的な株主数も約27%増に。株主優待の利用実績も想定以上の数を記録していて、狙い通りの効果が得られたと感じています。
また、当社株主優待の基準は7単元以上ですが、7単元未満の株主数も増加しています。その点からも株主優待の導入は個人投資家の興味を喚起し、7単元保有するまではいかずともまずは保有しようという動機付けにもなったのではないかと考えています。

ー今後のプレミアム優待倶楽部活用計画はありますか?

森様:
何かを劇的に変えるということはあまり考えていませんが、タイミングを見計らって、例えば「将棋ウォーズ」の限定アイテムなどを優待商品に加えることで当社の商品やサービスに触れていただき、より当社を理解いただくようなことができればいいなと思っています。

また株主ポストを利用した投資家向けの情報拡充や、プレミアム優待倶楽部に蓄積されたデータを利用した株主構成の分析・ターゲティングなどを次のステップとして行いたいです。生成AIなどと組み合わせるなどして、AI企業ならではの情報提供や活用方法などを考えていきたいと思っています。

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