Caseプレミアム優待倶楽部導入事例

ニッチな産業で認知拡大を追求。貢献するのは株主優待制度

愛知県名古屋市に本社を置く、くさび緊結式足場のレンタルを主軸事業とする株式会社ASNOVA。2022年4月の名古屋証券取引所ネクスト市場上場後に「プレミアム優待倶楽部」を導入されました。社員が中心となって策定したパーパスや自社事業の社会的価値を社外にも知ってほしいが、足場レンタルという一般的にイメージしにくい事業がその道を阻んでいると頭を悩ませていたとのこと。個人投資家が株を購入する理由は何かという切り口でIR施策を検討された経緯や、プレミアム優待倶楽部導入約1年間の成果を経営企画室で広報・IRを担当する阿南様に伺いました。

お話をうかがった方
株式会社ASNOVA
  • 経営企画室 阿南様
課題
  • ■ニッチな業界なため事業の認知向上が難しい
  • ■個人投資家がASNOVA社の株を選ぶきっかけ作り
解決策
  • ■プレミアム優待倶楽部の導入
  • ■東証グロース市場へ重複上場
効果
  • ■個人株主数の継続的な増加
  • ■株式分割時の買い増し効果

ニッチな産業で新規上場。どうしたら個人投資家に選んでもらえるか

ーASNOVAの事業内容をご紹介ください。

阿南様:
当社は工事現場で利用される“くさび緊結式足場”のレンタルを主軸事業としており、仮設機材の買取や販売、一部架け払い工事も行っております。

“足場”とは高所作業をする際に立って歩ける場所のことです。いくつかの種類がある中で当社が扱う“くさび緊結式足場”は、住宅や高さ45メートルまでの低中層建物で利用されることが多く、施工や保管、運搬の効率が良いため施工費用を安く抑えることができます。

当社の直接のお客様は、建築主から依頼を受けた足場施工会社や中小ゼネコン、リフォーム会社など様々で、直営の機材センター22拠点と、足場レンタルを行う事業者とのパートナー契約で展開している「ASNOVA STATION」15拠点の計37拠点で全国展開をしています。(拠点数は2024年9月2日時点)
(引用:2025年3月期 第1四半期決算説明資料)

ー「プレミアム優待倶楽部」を導入された経緯をお聞かせください。

阿南様:
2022年4月に名古屋証券取引所ネクスト市場でIPOを果たし、同年8月にプレミアム優待倶楽部の導入をリリースしました。株主優待制度の新設とプレミアム優待倶楽部の導入は、平易な言葉で言うと「当社を選んでいただく理由づくりの一つ」です。

当社は2021年、従業員が中心になってパーパスとパーパスを体現する価値観であるバリューズを策定しています。従業員が立ち返るものとして“「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす。”というパーパスを掲げ、自社ビジネスの確実性・社会性を社員が再認識する機会と場が整いました。

社外に対しても、当社の想いに理解・共感していただけるようオウンドメディアを通じた積極的な記事配信を進めています。しかし、個人投資家という点でとらえると、“足場”という目にする機会が少ない商材や“レンタル”というニッチな業態から、当社を知らない方も多くいらっしゃいました。

一方、1964年の東京オリンピックをきっかけにマンション開発が進んだ日本では今、老朽化したマンションの修繕需要が高まっています。大きな災害による建物倒壊も数多くある中、全国に“くさび緊結式足場”を届けることができる当社の事業は社会インフラであり、社会的な意義・価値があると自信を持っています。それなのに社会的に知られていない。この大きなギャップをどう埋めるかが課題でした。

そこで、当社の株を購入いただく“きっかけ”が必要と考え、さまざまな施策を検討した結果、株主優待制度を導入することになったのです。

株主が増えるほど活きる“個人投資家自身が選択できる”という魅力

ー個人投資家の株式購入の動機付けとして株主優待制度を設けられたのですね。

阿南様:
はい。主な目的は、株式購入のきっかけづくりと株主数増加、株式の流動性向上、業績好調に伴う株主還元の強化です。ただ同時に、株式を保有いただいた後も株を買い増し、中長期的に保有いただける個人株主様を増やすということも、次のステップとして目標にかかげていました。

それは、より多くの方に認知していただける市場に打って出たいという思いがあり、名証上場当初から東京証券取引所への上場を目指していたからです。
株式の長期保有をうながす仕組みとしてもプレミアム優待倶楽部は有効ではないかと期待を持って導入しました。

ー「プレミアム優待倶楽部」を導入するにあたってハードルになるようなことはありましたか?

阿南様:
ハードルというわけではないですが、個人株主様から株主優待に関する賛否両方の声が届く現実があります。株主優待を「ありがたい」と言ってくださる方もいらっしゃれば、株主優待に割く費用を配当や事業の投資に回してほしいといった声もあります。

個人株主様が増えることでさまざまなご意見をいただけることは想定していました。むしろ重要なコミュニケーションの機会と捉え、当社が株主優待やプレミアム優待倶楽部に投資する意図や意義を丁寧に説明し、前向きに進めるようにしています。

ー「プレミアム優待倶楽部」を利用した感想をお聞かせください。

阿南様:
当社のように個人株主様に利益還元としてお渡しできる商品やサービスが少ない会社にとって、幅広い商品群の中から商品を選択できるという点は大きな魅力だと思います。

特に個人株主様が増えれば増えるほど「ほしい」と思われるモノは多様化しますから、食品から生活用品まで約5,000種類という中から、“株主様ご自身”に選択いただけるのはすごく良いと思います。Webサイトに登録してポイントと交換するという流れも、私個人も株主として利用する際に「使いやすい」と思うので、さまざまな方に当社を選んでいただけるきっかけになると感じています。

株主分割時に保有株の買い増し効果を発揮したプレミアム優待倶楽部の“ポイント”

ー「プレミアム優待倶楽部」の導入効果はいかがですか。

阿南様:
2023年12月の東証グロース市場上場や数回の株式分割など、一連の動きの中で個人株主様が増加していて、目的を果たせています。株式数に応じたポイントを付与するという仕組みが、株式購入の動機づけになっているという実感があります。

例えば200株を保有していた方が株式分割で400株になった際、100株を買い増していただいた方が相当数いらっしゃったようです。当社は500株以上の株式保有者が株主優待のポイント付与対象ですので、100株の買い増しの動機づけに株主優待制度が貢献したと推測しています。さらに1回に限りポイントを持ち越せるといったプレミアム優待倶楽部の仕組みが、株主優待をさらに魅力的にしていると思います。
それは「私の持っている株式は何ポイントもらえるのか」だったり、「株式分割後どのタイミングで何株買い増せば株主優待の対象になるのか」といった問い合わせが増えたことからも明らかだと考えています。

ー「プレミアム優待倶楽部」を導入したことで他に変化を感じたということはありますか。

阿南様:
従業員持株会があるため、自社株を保有する社員が多いこともあってか、「プレミアム優待倶楽部で商品を頼んだよ」といった声を社内で聞くようになりました。決算資料を読むようになったという声もあり、投資家だけではなく、社内での副次的な効果もあったのだと気づかされました。

株主優待ポイントの互換性から認知が広がる期待

ー「プレミアム優待倶楽部」を利用したIR活動について、今後の計画をお聞かせください。

阿南様:
今後は株主ポストをうまく利用していきたいと考えています。

2024年6月に開催した投資家との対話型イベント“IR DAY”の告知で初めて株主ポストを利用して、これはすごいと感じました。すでに当社の株を売却されている方に対しても、決算の動向や開示内容、イベント開催等をお知らせできる。過去・現在を含め個人株主の方々の多くが、私たちの事業を知って株式を購入いただいているのですから、“さらに”また“再度”、当社に興味を持っていただけるための非常に魅力的なシステムだと感じました。

しかもその通知がハガキなど物理的な方法のみではなく、オンラインでできるのもうれしいです。
(2024年6月2日に開催された「IR DAY」の様子)
興味深いのは、プレミアム優待倶楽部のポイントは「WILLsCoin」に交換することでプレミアム優待倶楽部を利用されている他の企業様のポイントと互換性を持たせることができる点です。当社の株主様にとっても魅力ですし、私たち事業会社にとっても他の企業の株主様にプレミアム優待倶楽部というプラットフォームを通じて当社を知っていただく機会ができるわけです。株式購入のきっかけになることへの期待はもちろん、認知向上にも一役買っていると感じます。
またプレミアム優待倶楽部に付帯されているIR-naviも前向きに利用していきたいですね。

個人株主数の増加の次は機関投資家様へのアプローチです。当社のように時価総額が大きくない会社は特に、何もしないで機関投資家様に認知していただくことは非常に難しいです。積極的なIR活動として例えば、当社と類似の業態や商品を扱う企業の株式を保有している機関投資家様に特化してアプローチするといった戦略が、IR-naviを利用することで十分に発揮できるのではないかと考えています。

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