Caseプレミアム優待倶楽部導入事例

「いでみつコネクト」の名称でプレミアム優待倶楽部を導入。個人株主様と"つながる"施策を一挙に推進した1年

出光興産株式会社は、IR戦略の一つとして個人投資家様とのコミュニケーション強化に乗り出しています。そのプラットフォームとして2023年度、「プレミアム優待倶楽部」を導入されました。他社とは違うプレミアム優待倶楽部の活用方法で課題解決の手応えを感じていらっしゃるとのこと。今回は、同社の経理財務部 IR室の茂木室長と服部様に、プレミアム優待倶楽部を介した個人投資家様とのコミュニケーションについて具体策や効果について伺いました。

お話をうかがった方
出光興産株式会社
  • 経理財務部 IR室長 茂木様
  • 経理財務部 IR室 服部様
課題
  • ■東証プライム市場の他企業と比較して低い個人株主比率
  • ■2050年ビジョン”変革をカタチに”実現に向けた経営戦略・事業の認知拡大
  • ■株主様との双方向コミュニケーション強化
  • ■長期で応援いただくファンの醸成
解決策
  • ■プレミアム優待倶楽部を導入(サイト名を「いでみつコネクト」と命名)
  • ■抽選優待・株主様向けイベントを新設、プラットフォームとしてプレミアム優待倶楽部を活用
  • ■株主様限定記事配信・社長ライブ説明会の開催等、株主様とのコミュニケーションを強化
効果
  • ■登録者数は順調に伸長。株主様から多くの好意的な反響をいただく
  • ■個人投資家・株主様向け施策の認知度アップ
  • ■他部門・事業との連動企画が萌芽、次なるステップへ

プライム企業の中では低い個人株主比率

ープレミアム優待倶楽部の導入以前、IR活動においてどのような課題がありましたか?

服部様:
当社は、東証プライム市場に上場している企業の中でも個人株主比率が非常に低いことが課題でした。多くの個人株主様に当社株式を長期で保有いただくことは、株価の安定化・ボラティリティー低下による資本コスト削減にも繋がるため、その点からも個人株主比率を高めていきたいと考えていました。

この課題は取締役会の議題にも上がり、会社としても重要な取り組みと認識されています。そこで2023年度、より幅広い年代の投資家層に当社株式を保有いただくことを目的とした株式分割の実施のほか、個人投資家・株主様向け施策も大きく動き出しました。

さらに、当社は、“変革をカタチに”という2050年ビジョンを掲げ、事業ポートフォリオの転換を図っている最中。ガソリンなど既存エネルギーの安定供給は継続しつつも、未来に求められる低炭素エネルギー実装に向け推進する新たな戦略・事業を、個人投資家・株主様にも広く知っていただき、ご支援いただきたいという思いもありました。
茂木様:
特に、非化石で持続的に供給できるエネルギーの開発は長期的な取り組みとなるため、多くの方の理解と長期的な応援はとても心強いものです。そういった意味でも、消費者でもある個人株主様を増やしていく取り組みは非常に重要だと考えました。

服部様:
当時、個人投資家様との直接の接点は年に4~5回ほどの説明会(主に証券会社主催)、株主様との接点も年1回の株主総会、中間事業報告書や配当通知といった配送物をお届けする機会のみでした。機関投資家様に比べ個人投資家様とはコミュニケーションの機会が少なく、当社の状況を積極的にお伝えできる場が多くはありませんでした。

多くの導入実績があるWEBプラットフォーム、そして熱量の高いサポート体制

ーどのようなきっかけでプレミアム優待倶楽部をお知りになりましたか。

服部様:
試行錯誤する中、株主様に企業活動をより深く知っていただくことを通じ、出光興産の “ファン” になっていただくことを目指そうと考えました。
当社の事業分野で一番株主様に身近なものは、「apollostation(アポロステーション)」ブランドで展開するサービスステーションでのガソリン販売になるかと思います。一方、当社は高機能材、素材開発にも長年強みを持ち、足元は電気自動車への搭載が期待される次世代電池向け固体電解質の開発や、燃料油事業の知見を活かし取り組むアンモニア、e-メタノール、持続可能な航空燃料SAF等の次世代の燃料の実装に向けても力を入れて取り組んでいます。これらの当社の取り組みや事業を個人株主様によりわかりやすくお伝えしていく、そのようなコミュニケーションができるプラットフォーム、つまり株主様専用WEBサイトを立ち上げようと考えました。
他社様の状況を調べてみると、上場企業の中で株主様専用WEBサイトを持つ企業は少なく、その中の数社が「プレミアム優待倶楽部」を利用していると知り、ウィルズさんに問い合わせた次第です。

ープレミアム優待倶楽部の導入を決めた理由をお聞かせください。

服部様:
80社以上(当時)という国内随一の運用実績や、プレミアム優待倶楽部が、株主様専用サイトとして、基本的な機能が備わっているプラットフォームであったことです。さらに、営業さんの熱量も決め手の一つになっています。

プレミアム優待倶楽部を利用する多くの企業様は、株主優待の基幹システムとして活用されているように見受けられました。しかし当社の目的は、個人株主様とのコミュニケーションを軸にしたファンづくりです。活用の仕方が少し違うが大丈夫かという懸念がありました。例えば、社長ライブ説明会や抽選優待など、新しい試みをプレミアム優待倶楽部上で展開したい。そうウィルズさんに相談したところ、本来領域とは違う分野だが自分たちも一緒に挑戦したいと、熱量高く前向きな支援を申し出ていただき、ぜひパートナーになっていただきたいと思ったのです。

ー類似のサービスは検討されましたか。

服部様:
はい。当社独自の株主様向けサイト・システム構築を提案してくださる会社様もありましたが、当社が自由にカスタマイズできるというメリットがある一方、費用および一から作り上げる手間やリスク等のデメリットがありました。一方プレミアム優待倶楽部は、応募・抽選システムや株主様へのプッシュ通知等、基本的な機能が確立されていました。

そこに当社独自の仕様変更も可能であったこと、ウィルズさんが今後もシステム投資を行い・機能を充実させていく方針であったこと等が、スピード感をもって施策を推進・発展させていきたい当社の要望とよりマッチしていました。

発注からローンチまで約2カ月という短納期が実現できたのも、既存のプラットフォームであるプレミアム優待俱楽部がベースにあったこと、導入実績の豊富なウィルズさんに臨機応変にサポートいただけたからこそと実感しています。

「いでみつコネクト」を通じてオンラインでの個人株主様との接点増加。応募数などで関心度アップも実感

ープレミアム優待倶楽部を他社様とは少し違う使い方をされているとのことですが、具体的に教えてください。

服部様:
まず、“株主様とつながる”ことをイメージして「いでみつコネクト」という当社独自のサイト名を付けました。

茂木様:
名称を決める際は役員とも話し、いろいろなアイデアが出た中で、“やわらかい、親しみやすい”と感じてもらえる名前にしようと決めました。

服部様:
導入から1年強が経ちますが、社内でも「いでコネ」の愛称で呼ばれるようになりました。株主様にも「いでみつコネクト」「いでコネ」という名前で、親しみを持ってご利用いただければと思っています。

ープレミアム優待倶楽部(「いでみつコネクト」)の運用面ではいかがでしょうか。

服部様:
現在、株主様への情報発信を行うほか、抽選優待やイベント参加のプラットフォームとして活用しています。

具体的には、当社が提供している『題名のない音楽会』の公開収録にご招待する抽選優待、当社ゆかりの施設や事業所を巡る株主様向け見学会などのイベント、これらのご案内・応募フォームはすべて「いでみつコネクト」経由で行っています。見学会の参加者から「いでみつコネクトの取り組みは他社と比較して珍しくて、新しい取り組みだ」といった評価の声をいただいています。

企画の中でも印象的だったのは、社長ライブ説明会です。こちらも同様にプレミアム優待倶楽部で告知・募集を行いましたが、ライブ説明会当日は約200名を超える株主様にご参加いただき、事前質問も非常に多くお寄せいただきました。当日は社長からの中期経営計画に関する説明のほか、特に関心の高まっている次世代電池向け固体電解質を管轄する部長が登壇する企画も盛り込み、Q&Aでは社長が直接株主様の質問に回答しました。関心の高い事業や経営トップと身近に対話できる機会を設けられたことは、当初の株主様とのコミュニケーションを強化する、という目的に合致した充実した施策となりました。

説明会後のアンケートでは参加者の97%が満足または非常に満足と回答し、「社長の人柄や考え方が伝わり親近感を感じた」「トップの熱意・意気込みが伝わった」「固体電解質事業が良く理解できた」「株主として応援を続けていきたい」等、好意的なご意見を多く頂戴し、大きな手応えを感じています。

ープレミアム優待倶楽部(「いでみつコネクト」)の運用も含め個人投資家様施策のご担当は何名ですか。

服部様:
個人投資家・株主様向け施策の検討、プレミアム優待倶楽部の立ち上げ期間を含め約1年間は室長の茂木のサポートの下、担当は私一人という体制でした。本格的にプレミアム優待倶楽部が立ち上がり、新たな施策を展開していくタイミングの7月に、前職でWEBマーケティングにも知見がある担当マネジャーの髙村奈津子も加わり、髙村と私の2名が選任で、個人投資家・株主様向け施策全般を進めてきました。専用WEBサイトの導入やそれを介したコミュニケーション戦略、株式分割の検討、抽選優待やイベントの新設など、様々な施策をスピード感を持ち、積極的に展開できた1年だったと自負しています。これもウィルズさんから「いでみつコネクト」の立ち上げのみならず、各企画についても様々なご提案やサポートをいただくなど、私たちの挑戦に併走いただいたおかげだと思っています。

ープレミアム優待倶楽部の魅力はどのような点でしょうか。

服部様:
個人投資家様とタイムリーに接点が持てることだと思います。導入目的である、個人投資家様とのコミュニケーション促進という点でとても優れていると実感しています。

具体的には、株主様との情報伝達について、今までの信託銀行経由のコミュニケーションは、招集通知や株主通信などの紙媒体で一斉通知をすることが一般的でした。株主様が「いでみつコネクト」にご登録いただくことにより、タイムリーな発信ができるようになるだけではなく、属性等に応じたターゲティングなど、発信側にとっても受信側にとっても多様なコミュニケーションが構築可能だと考えています。

個人株主様により長く応援したいと思ってもらえるよう、またより多くの個人投資家様に当社株式を保有したいと思っていただけよう、心地よいコミュニケーションを「いでみつコネクト」の活用を通じ目指していきたいですね。

IR部門だけでなく全社的に重要な課題を共通認識にする契機に

ープレミアム優待倶楽部を導入したことで起こった変化はありますか。

服部様:
社内でも、株主として登録している社員から「いでみつコネクトから通知がきたよ」「いでみつコネクトに掲載されていた記事が良かった」「抽選優待が始まったね」等の声をもらうようになりました。メールに通知等が届くので、随時取り組みや企画に関心を持ってもらえていることが分かります。

また、個人投資家・株主様向けの施策は、まずは出光興産という会社自体を知っていただくことが入口になりますから、IR室だけではやれることが限られます。対象は取引先や一般消費者、学生まで広くステークホルダー全般に渡るため、広報部や人事部、株主総会の運営を所管する法務部などとの協力は必須です。当初から各部門との連携を仰ぎつつ、「いでみつコネクト」の認知も浸透したことで、株主総会関連のお知らせをいでみつコネクト上でもタイムリーに展開するなど、部門の領域を超えた新たなシナジーも生まれています。

茂木様:
「いでみつコネクト」導入に始まる施策の展開を通じ、役員はじめ多くの社員にも、個人投資家・株主様向けの取り組みは、出光を長期でご支援いただくファンづくりのためにも非常に重要だ、という理解を深めていただけたと感じています。

ー今後、プレミアム優待倶楽部をどのように活用する予定ですか?

茂木様:
今後もWEBプラットフォームの利点を生かし、ウィルズさんと相談しながら積極的に活用できればと考えております。明確な企画は決まっていませんが、例えば当社サービスステーション「apollostation」では、利用者の会員基盤が構築されています。消費者の皆様に当社のことをより知っていただくという観点からは、販売分野との連携も重要だと考えています。

服部様:
その視点でこの6月、「apollostation」を利用するお客様用アプリ「Drive On(ドライブオン)」と連携し、株主様限定キャンペーンを初めて実施しました。販売部と協力し、アプリのダウンロードと「いでみつコネクト」の登録をした方全員に、ローソンのコーヒーチケットをプレゼント。さらにキャンペーン期間中に給油した方には、抽選で400名様に2,000円のAmazonギフトカードをプレゼントするという企画です。

キャンペーン開始時に販売担当者のインタビュー記事を「いでみつコネクト」に同時掲載するなど、当社事業への理解を深めるきっかけになっていただければとの狙いでしたが、結果、非常に多くの株主様にお申込みいただきました。今後も前例にとらわれず、事業と株主様との連携も模索していきたいと思っています。

茂木様:
「いでみつコネクト」との連携は事業部にとっても差別化要素の一つになり得ますし、株主様にとっても、当社のサービスに直接触れていただける機会が増えます。ファンになっていただけるきっかけにもなるため、両部にとってのメリットは大きいと考えています。「いでみつコネクト」は個人株主様との接点を作ると同時に、当社部門同士の新しいつながりも提供しつつあるのかなと感じています。

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